「2015年」といえば、皆さんはどんなことばを思い浮かべるでしょうか? 今年の「ユーキャン新語・流行語大賞」[1]で年間大賞に選ばれたことばのひとつに「爆買い」がありました。これは、一度に大量の商品を購入することを表す俗語です。百貨店やコンビニ、薬局等あらゆるお店で大量に商品を買う中国人の光景が頻繁に報道されることで定着しました。2015年、「爆買い」は日本のビジネスシーンに大きな影響をもたらしました。今回のコラムでは、2016年もビジネスにおいて引き続き変化をもたらすであろう、訪日外国人にフォーカスを当ててみたいと思います。
まず、実際に訪日外国人にどのくらい変化があったのか見ていきます。下図は、アジアからの訪日外客数の推移です。
※2015年の数値は1月から10月の10ヶ月分の合計値)
(単位:万人、出典:日本政府観光局(JNTO)
グラフの通り、3ヶ国全てが2015年10月の時点で2014年の1年分の訪日外客数を上回っています(訪日外客数の総数においても2014年を約300万人超えている)。
そして、注目すべきなのは中国の急激な伸びです。2013年から2014年では約110万人、2014年から2015年には約190万人も増加しています。アジア以外の国を見ても、これほどの勢いで増加している国はありません。この勢いでいくと、2015年は中国からの訪日外客数がトップになるのは確実です。その要因には、訪日ビザの緩和、航空便の増加、円安等が挙げられます。また、中国のモバイルインターネット利用者という指標を見てみると、2011年6月から2015年6月の4年間で、2億7589億人増加しています[2]。背景には安価なスマートフォンの普及があり、検索機能やSNSによって様々な観光情報や口コミ等を簡単に入手できるようになったことで、海外旅行に対するハードルが下がったと考えられます。インターネット利用者が急増しなければ、ここまで訪日中国人が増加することもなかったでしょう。
さらに、ここで見落としてはならないことは、インターネットを通じて中国から日本の商品サイトにアクセスすることが容易になったことです。
そういった意味も含めて、弊社のプラセンタ事業にも2015年は大きな変化がありました。今までの注文者は、日本国内での紹介者を通じた販売やセミナー参加者からが多くを占めていました。しかし、プラセンタのサイトをリニューアルしたことで、サイトを見た方からの問い合わせが増加しました。その中には、日本人だけではなく、中国人や韓国人からの問い合わせもありました。サイトをより見やすく、なお且つ情報量を増やし、困りごとや不安に応えられるように信頼できるサイト作りを継続的に行った結果だと思いますが、数年前まではまさか海外から問い合わせがくるとは考えていなかったことでした。
しかし、その理由を探ってみると、次のような変化に起因していると思われます(中国人に焦点をしぼります)。まず、プラセンタ商品(サプリメント)は所得に余裕があればあるほど購入されやすく、お金に余裕のない人は購入しづらい性質の商品です。ボストンコンサルティンググループの調査(2014)[3]によると、中国の中間・富裕層は都市部で2013年の1億600万世帯から、2020年には2億100万世帯に増加すると予測されています。それに伴い、サプリメント市場も2012年の130億ドルから2020年には340億ドルまで拡大すると予測されています。所得に余裕のある層が急増することで、サプリメント市場も急拡大するということであり、現在はまさにその途上にあるということです。また、今後中国では猛スピードで高齢化すると考えられています。宗教的なマイナス要因はありますが、プラセンタのような商品の需要は高まっていくでしょう。そこに、インターネットの普及が後押しをします。店舗に行ってサプリメントのパッケージを見たとしても、その善し悪しの判断は難しいものです。そこで、何が購入の判断材料になるかといえば、実際に使用した人の感想や商品自体の情報量や信憑性です。消費者は、これらをインターネットを使って比較・検討し、納得がいけば購入までします。つまり、中間・富裕層の増大、高齢化などの大きな変化が、インターネットの普及によって国境や企業の規模に関係なくプラセンタの需要を高めているのだと推測できます。
2016年も、引き続き訪日外客数は増加すると考えられます。また、日本に訪れる方のみならず、インターネットを通じて日本にアクセスする外国人も増加していくでしょう。現在、様々な業界で訪日客を対象としたビジネスが急ピッチで拡充されています。今までターゲットとは考えてもみなかった層が、2016年には主要顧客になっている可能性があります。こうした劇的な変化を知っているか知らないか、知っているならどう活かしていくかが、2016年はますます重要になると思います。
ライター:表 悠司
[1] 参考:http://singo.jiyu.co.jp/
[2] 参考:http://www.cnnic.net.cn/
[3] 参考:http://www.bcg.co.jp/documents/file155410.pdf