「既存顧客」と「継続性」

販売促進において、新規顧客と既存顧客のどちらを大切にするべきかという話があります。もちろん、どちらか一方のみに目を向けるのではなく、あくまでバランスの問題なのですが、多くの方は既存顧客を大切にするべきだと考えています。なぜなら、既存顧客の維持コストは新規顧客を獲得するコストに比べて格段に安いからです。これは一般的に「1 : 5の法則」と言われており、新規顧客を獲得するには既存顧客の5倍コストがかかるとされています。また、既存顧客を大切にすることは、口コミや紹介といった新規顧客の獲得にもつながっていきます。従って、効率的な経営には既存顧客を大切にする仕組みを整えることが前提と言えます。

そのような顧客管理(ここでは潜在顧客や見込み顧客も含めます)をきちんと行い成果を出すには継続的な取り組みが必要です。例えば、よくイベントやセミナーを主催される方の場合、参加者は更なる関係を築いていくための絶好のターゲットになります。今ではツイッターやフェイスブックなどのSNSがあるため、告知に関しては比較的楽に行うことができます。しかし、参加者から得た情報を管理し、アフターフォローや新たなアプローチを継続的に行うことができているでしょうか?中小企業や個人事業主の方々は、顧客管理をしようとしても自身の仕事量の増加や顧客管理業務に割く人員の不足などで、継続的に行えない現実があるのではないでしょうか。

顧客管理の外注

この悩みを解決する1つの手段として外注があります。「継続性」という観点から見ると、基本的に外注することは合理にかなっています。なぜなら、顧客管理が継続できない主な原因は、データ管理の煩雑さや人員不足のように組織内部にあるからです。また、顧客管理は高度なマーケティング的発想とその実行力が求められますが、一方で顧客情報を収集・蓄積しデータ化するために事務的な作業も多く要します。この部分はマネジメントをいくら工夫しても、作業量自体はあまり変わらないため、効率化が難しいのです。

では、外注先の選定基準には、どのようなものがあるのでしょうか。一般的には、資本金や取引先企業、営業年数、技術力、提案力などがあると思います。顧客管理業務の外注であれば、信頼できる相手か、その企業の顧客が何に満足しているか、本当に自社の業務の効率化につながるかなどが確実に押さえておきたい部分でしょう。事前の情報収集を怠らず信頼できるか実際に会って話してみて判断することに注意が必要です。また、金銭的に得か損か判断することも必須ですが、自分の時給を基準に考えると分かりやすいです。例えば、自分の時給が2,500円だとして、顧客管理の事務作業に割く時間が週1時間だとします。この場合、月10,000円を費やしていることになります。仮に、この事務作業の時間を10,000円で外注に出してみます。すると、事務作業が片付くだけでなく、作業に充てていた4時間も手に入ります。更に、その外注先が顧客管理全般のサポートまでできるなら、自社の顧客管理の質を高めることや外注の集約化が可能になり、より効率的な顧客管理が実現できます。

 継続的に顧客管理を行うために、外注の有効性を考えてみましたが、もちろん自社で行うことが最善であれば外注する必要はありません。ただ、「既存顧客」と「継続性」を意識した顧客管理の仕組みを構築するために自分の時間を何に使うべきか熟慮し、必要に応じて積極的に外注することも1つの手ではないかと思います。

 

ライター:表 悠司