年末商戦の季節になりました。
各社戦略を立てられているのではないかと思います。

クリスマスでは、プレゼントの中身もさることながら、演出も大切な価値となります。
例えば、お歳暮を贈るときやもらったときに、
同じハムなのにデパートの包装紙に包まれた商品の方が高級に感じるのは否めません。
それはデパートの方が高級商品を扱っているという先入観があるからです。

消費者は、価格が安いだけでは満足を得られないこともあります。
同じワインでも、価格が「高い」と聞いて飲んだワインと、
「安い」と聞いて飲んだワインとでは、多くの人は「高い」と
聞いてから飲んだワインをおいしいと感じてしまいます。

ハロー効果とは、モノを評価するときに、パッケージや価格などの一面に影響を受けて、
のものの価値が歪められるヒトの心理的な現象を指します。
人を評価する場合も肩書や服装などの一面から受ける印象で、
その人の評価がポジティブな方向へも、ネガティブな方向へも歪められるというのがハロー効果です。

自社の製品・サービスを他社よりもより良く伝えるために、
このような心理的効果を狙うことがあります。
ターゲットとなる消費者に高感度の高い人気タレントを使ったCMは、
受取り側に良い先入観を与えるという、ハロー効果を上手く使った例のひとつです。
一般にポジティブな方向への歪みを指すことが多いですが、ネガティブな方向への歪みも存在します。

商品の価格を下げる時などは、ネガティブなハロー効果の様にみられがちですが、納得のいく値下げなど
(賞味期限の経過による値下げ、型落ち、キズや汚れによる値下げ、過剰在庫による値下げ)
理由が明確なものなら、消費者も納得して、良いものをお得に買ったという満足感を得られることでしょう。

ところが、高級ホテルがインターネットで安い価格の部屋を提供していたりすると、
サービスも価格に比例するのではと考えたり、人気が低下して部屋が空いているのでは、
という考えになるかも知れません。
それではブランド力の低下に繋がってしまう恐れがあります。

消費者は価格によって商品価値の判断が変わるものだという事も考慮し、
価格戦略を練らなければなりません。
高くすれば顧客が離れる、安くすれば顧客が満足するとは一概には言えないのです。
つまり高級、好印象なイメージも商品価値に含まれ、非常に大事なのですね。

ヒトの心理現象を考察する心理学を用いたマーケティングは奥が深く、興味深い事例だと思います。

*ハローとは、「後光が差す」という時の後光、聖像の光背や光輪のことで、
 後光効果、光背効果とも呼ばれる。

ライター:水谷恭子

 

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