「お・も・て・な・し」

日本の心尽くしが流行語になってから久しいですが、海外と比べるともっとはっきりとその差が見られるのではないでしょうか?
先日、北欧に旅行して日本の商品やサービスは思いやりにあふれている反面、消費者を甘やかし過ぎなのではないかという思いに駆られました。

高い税はいずこ?北欧クオリティ

スウェーデン、フィンランド、北欧といえば税金が高いことで有名ですよね。高いものでは25%もの税金を取られるそうです。
それでも医療費や教育費が無料だったり、失業手当や子育て支援のための社会保障がとても充実していて、国民からそれほど不満は出ないのだとか。
ただ日常の商品やサービスを見てみると、どうしても「日本だったらこんなことはないのに…」ということがたくさん出てきます。

例えば食品用ラップ。これがかなりの代物です。くっつくし、薄いし、やっと切れた時にはもうぐしゃぐしゃです。
しかも、電子レンジで使えない…スウェーデンで知らずにチンしてしまった時は、ラップが溶けてシチューに混ざってしまいました。だから、北欧の人たちは(というかヨーロッパ全体的に)あまりラップを使いません。冷蔵庫に食品を入れる時は皿をかぶせるか、匂いが移るのも構わずにそのまま入れてしまいます。あまり気にならないのでしょうね。

さらに、スーパーの野菜や果物は基本的にビニール袋にそのまま投入。はじめからパックされているなんてありえません。

じゃがいも

店員同士はもちろん楽しそうにお喋りしています。これでも南ヨーロッパよりはずっと真面目なのだとか。公衆トイレは有料なのに汚く、落雷で道路を塞いでしまっている木もなかなか取り除きに来てくれません。

DIY文化

DIY=Do It Yourself.

恐らく耳にしたことのある方も多いフレーズでしょう。
ヨーロッパはあまり商品やサービスが親切でない代わりに、自分でなんでもできる人が多いのです。
例えば先述の「落雷後の倒木」事件。車が立ち往生してどうするのかと疑問に思っていた時、友人が車のトランクから電動ノコギリを取り出し、木を切って道路の脇に避けてしまったのです。日本なら確実に地方自治体の仕事。そもそも電動ノコギリ常備の車ってどうなんだ?カルチャーショックでした。ここの人たちはこの他にも、庭での野菜栽培や車の修理、家のリフォームに至るまで、本当に自分たちでお見事なほど何でもやってのけてしまうのです。

倒木

日本の消費者はスポイルされている?

ここで本題です。
日本に目を向けてみると、商品は清潔に何重にもパックされ、均等に店に並んでいます。
企業はより消費者に便利な品を届けようと、昼夜休まず開発や販売促進を行っています。
店員たちは完璧にマニュアル化された接客をこなし、数字で管理されます。
何よりトイレが無料で美しい!これはかなり感動モノです。
夜中にお腹が空けば徒歩5分のコンビニで胃袋を満たせます。
荷物は郵便局まで取りに行かなくとも、ドアの前まで届けてくれます。
まるで天国のようです。

先日テレビでコンビニ商品の特集がありました。
コンビニに置いてある箱ティッシュは男性でも取りやすいように黒を取り入れているだとか、コンビニでリップクリームを買う人はすぐに使いたい人が多いだろうから、片手で使えるようにしているだとか。
まさに消費者目線に立った「おもてなし」の心が叶えてくれることです。まだまだわがままを言えば、企業は私たちの理想を形にしてくれそうですね。

日本の商品やサービスはここまで来ています。本質的にはもう充分に満たされているけれど、何か目新しいものがないと競争に負けてしまう。
そこで、こういった「ちょっとした改善」に目を向け、商品を生み出し続けています。

しかし、少し立ち止まって考えてみたいことがあります。
「消費者目線に立つ」=「消費者を甘やかす」になっていないでしょうか?
お客様は神様だとはよく言ったものですが、消費者の短期的な願望を叶えることだけが企業の努めでしょうか?
今の日本人に、先に言った「DIY」が根付いている人がどれだけいるでしょう?その蛇足的なサービスを生み出すために、どれほどの労働時間が犠牲になっているのでしょう?消費者としても、企業が差し出してくれる甘い蜜を自ら取捨選択できる賢い消費者になりたいですね。

本当に必要なもの、本当に大切なものは何か。その先に真のお客様目線があるはずだと、私たちは信じています。

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