残暑が残る日々が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。今月のコラムは、ひき続き「人生における大切なことば」と題して「水五訓」を紹介いたします。これは、戦後の日本を牽引したといわれる名経営者、大和ハウス元会長樋口武男氏も文春新書「熱湯経営」で語られているものです。
今月は、残りの3つについて紹介します。
③“障害に逢ひて激しく努力を倍加するは水なり”
人生も事業の道も、必ず困難な課題に直面する時があります。そんな時、ただ諦めてしまうのではなく、人や企業の発展の機会だと捉えましょう。水の流れもダムという障壁に遮られると、その力を内に蓄えていき、解放された時に巨大なエネルギーを発揮するものです。
④“自ら潔くして他の汚濁を洗ひ清濁合せ入る量あるは水なり”
人は様々な価値観を持っています。それらが一つの企業に集まると、感覚、リズム、方法、価値観の合わない人がでてきます。それを排除するのではなく、長所を見つけてそれを生かすことを考えましょう。川は様々な水を一つにまとめて大海へ向かいます。様々な考えを企業の目的に集約するのが管理者の責任なのです。
⑤“洋々として大洋を充たし発しては蒸気となり ~ 而も其の性を失はざるは水なり”
水は温度の変化、器の形によって自らの形を変えていきますが、その本性は変化しません。同じように、環境の変化に常に柔軟に対処しなければなりません。取り巻く状況の変動を敏感にとらえ、常に新しい戦略、戦術を生み出す柔らかい頭と俊敏な体を持ちましょう。
現在多くのビジネス本が発売されていますが、働き方、その信念は人それぞれであります。多くの本や経験を自ら言語化し、自分の理論にしていく作業こそが人生を生き抜く道標となるでしょう。本コラムもその手助けとなれば幸いです。
ライター:山本忠義