ビジネスマンは様々な場面でスピーディーな判断が求められます。〆切迄に仕事を完了する事はもちろんですが、商談などの取引先やお客様への対応にも瞬時に判断する事が必要となってきます。今回のコラムでは、「スピーディーに物事を判断する基準」についてご紹介していきます。
昔から商売の世界に「三方よし」という有名な言葉があります。これは近江商人が掲げていた活動理念であり、三方とは「買い手」、「売り手」、「世間」を指しています。三方よしの精神とは買い手であるお客様を喜ばせるのはもちろんのこと、売り手である自社にとっても、そして社会にとっても幸せになる取引が本当に良い商売であるという考え方です。この精神は仕事をしていく中で非常に重要な心得となっています。
私はこの精神を更に拡張して、以下の5つの視点から物事を見ることで、より迅速に適切な判断ができると考えています。
①お客様にとって良いことか
②会社にとって良いことか
③社員にとって良いことか
④社会(地域)にとって良いことか
⑤将来にとって良いことか
①は言うまでもなく、ビジネスの常識となっています。②③の視点は、三方の一つである「売り手」をより具体化したものです。最近では世間が企業を見る時に、利益だけでなく、社員をどう扱うかという事が重要視されています。また、会社が継続的に成長していく為には、社員への配慮が不可欠なものとなっているのです。④の視点は、三方よしの「世間」にあたり、現在世界的に注目されているCSR(corporate social responsibility)という考え方に通ずるものです。CSRは一般的に「企業の社会的責任」と訳されます。会社は社会へ与える影響に対し、その責任を求められていると留意しておく必要があるのです。そして最後の視点は、先に述べたCSRの考え方からも伺えますが、会社自らの永続性を実現し、また、持続可能な未来を社会とともに築いていくという考え方を表しています。
常日頃からこの5つの視点を基準に判断する習慣を身につけておけば、瞬時の判断を求められた時にも、迷いのない答えが導きだせるでしょう。
ライター:山本忠義