マイナンバー制度の導入に伴い、前回と前々回は基本的な仕組み、メリット・デメリット等についてご紹介してきました。まだ本格的に準備をされていない事業者の方もいるかもしれません。マイナンバー制度の運用まで残り一ヶ月ほどと間近に迫ってきています。本制度が分からないからといって、委託先の方に丸投げすると、必要以上にコストをかけてしまい後悔することになるかもしれません。今回は、そのようなことがないように、事業者視点でマイナンバー制度を深く掘り下げていきます。
どのような仕組みで管理されているのか?
多くの企業では、源泉徴収票等の年末調整業務や社会保障関連の書類作成を税理士事務所や社会保険労務士に委託していると思います。マイナンバーの管理については顧問料の範囲内で対応する場合が多いようですが、マイナンバーを収集・保管・利用するため、委託先とどのように役割分担するのか決めることになります。そしてその役割は、委託先が利用しているシステムに依存され決められます。
例えば、委託先がオンプレミス(自社運用)のシステムを使用している場合、委託先でマイナンバーの情報を入力します。従って、委託先に従業員のマイナンバーを渡す作業が必要となります。
また、委託先がクラウドのシステムを使用している場合、事業者側でマイナンバーの情報を入力すれば、そのまま委託先に共有されます。
従って、マイナンバーの情報を委託先に渡す必要がなく、情報漏洩のリスクが少なくなります。システムによっては、マイナンバーと通知カードや免許証等の本人確認書類をデータで紐づけすることができます。これにより、事業者側も委託先も安心してマイナンバーが本人のものであることを確認できます。
委託先がどのようなシステムで管理するかによって作業やリスクが変わってきますので、中小企業においては、担当者だけではなく従業員にも理解してもらうとより安心だといえます。
情報漏洩の責任は事業者側にも!
マイナンバーで最も怖いことは、情報漏洩です。そのため、情報漏洩防止を謳ったシステムの営業が多発しています。しかし、情報が漏洩した場合、委託先だけではなく依頼した事業者側にも責任が生じます。法外な費用を請求されることもあるので、そのシステムが本当に必要なのかどうかをよく検討することが大事です。専門家にアドバイスをもらったり、自社と同じくらいの規模の企業がどういった対応・対策をしているのか、調べてみることでより適切な判断ができるでしょう。税理士や社労士等の専門家と顧問契約をしている場合は、その費用範囲内で対策してくれることが多いため、委託先ときちんと情報共有を行うことが重要になります。曖昧なことがないように注意を払えば、マイナンバー制度で後悔するようなことはないでしょう。
「中小企業にとってのマイナンバー制度とは?」:http://news.mynavi.jp/series/mynumber/001/
ライター:表 悠司