「ウチは口コミだけでお客様に来ていただいているので、専属の営業マンや広告の必要がないんです」
こんな羨ましい状況にあるお店や会社に出会ったことはありますか?
今、「口コミの力」がどんどん大きくなって来ています。
《口コミが以前よりも広がりやすくなった背景》
CGM(Consumer Generated Media)という言葉を耳にされたことはあるでしょうか?
直訳すると「消費者生成メディア」となります。
Wikipediaによると、このCGMという言葉は「かつての消費者は文字通り企業から提供される商品やサービスを金銭で消費するだけの存在であったが、市場が成熟していくにつれ、消費者側に確かで肥えた目を持つ層が増え、生産者(企画者)並の知識を持ち始めたことに由来する。」とあります。
FacebookやTwitterなどのSNS、Youtube、食べログや価格コムなどの口コミサイトなどがこれにあたります。消費者が消費者に知識を与え、体験を共有することはもはや当たり前になってきつつありますね。
《口コミの影響力》
消費形態が、生産者から消費者への一方通行型から相互交流に変わったこと、さらに消費者間の情報共有も可能になったことで人々の購買プロセスに変化が起こりました。
検索して出てくる口コミ、ソーシャルメディアで流れてくる情報を元に、人々が購買の意思決定を行う時代がすでに来ています。
いいことも悪いことも、個人の感想があっという間に全世界に発信されます。
「リアルな声が聞けるから、信頼できる」と重宝する消費者もいれば、逆にそれを逆手に取って情報操作をしようとする企業も現れ、問題にもなりました。
《口コミが自然に広がっていくには?》
口コミはどのようにして広がっていくのでしょう?
ここで、元祖口コミ番長の「佐藤さん(43歳/専業主婦)」に登場していただきます。
とある村の井戸。飲料水や洗濯に使う水を、主婦の皆さんが汲みに来ています。
ここは主婦たちにとって雑談の場であり、大切な情報源。
「昨日な、たまたま村の北の方に行ったら、「万鳥屋」って言う和菓子の店ができててん!そこの栗まんじゅうがもう絶品で!私はダイエット中やから主人と子供たちにと思って3つ買ったんやけど、家に着くまでに全部なくなってしもてたわ」と、佐藤さん。
「そうなん!知らんかった!あの辺ちょっと遠いからなぁ。けど早速今日行ってみよ」話を聞いていた鈴木さんがこう返し、隣で他の主婦たちも聞き耳を立てています。
こうして万鳥屋は、商圏外の新規顧客をどっさりお迎えすることになったのです。
さて、この話に口コミを生む条件がいくつも隠されていることにお気づきになりましたか?
①感情を揺さぶる
人は感情を大きく揺さぶられると、思わず誰かに話したくなります。
驚き、発見、納得、疑問、共感、感動など感情には様々な種類があります。
今回の佐藤さんのケースでは、新しい店の「発見」、栗まんじゅうの美味しさへの「感動」といった感情が揺さぶられたようです。
商品やサービスの特徴によって、どの感情にアプローチするのがよいかが変わってきそうですね。
②感情を共有する場の存在
新しく店を開け、感動的な栗まんじゅうを販売したところで、この「井戸端で世間話をする」という場がなければ他の主婦たちに広まることはなかったでしょう。
同じように、いくら感情が揺さぶられたところでその感情を共有する場がなければ、口コミは広がらないのです。
ネットが発達した現代では、口コミの場は対面コミュニケーションだけに限りません。食べログ、価格コム、Facebook、ブログ、Youtubeなど、ひとたび口コミが爆発すれば、その規模はまさに世界を巻き込みます。
以上のように、自社の商品やサービスをどう魅せればお客様の感情を揺さぶることができるのか、そしてその感情の波が伝わる場は整っているのか。
口コミを広めたい時は、この2点にかかっていると言えそうです。お金をかけて広告を出すことはもちろん効果的なこともありますが、お客様自身が進んで良い口コミを広げてくだされば、こんな嬉しいことはないですね。